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「心臓弁膜症のある方に関するアンケート調査」結果報告
2018年11月25日から2019年1月31日にかけて行った「心臓弁膜症のある方に関するアンケート調査」の結果を報告します。
この調査結果は、2019年7月21日に開催した、心臓弁膜症ネットワーク第1回交流会(詳細はこちら)で一般社団法人ピーペック理事(CKO)武田飛呂城より報告を行いました。
本調査は、弁膜症の患者さんの現状を知ることで、治療や病気に関連してどのようなニーズをお持ちかを明らかにし、よりよい療養環境実現のための一助とすることを目的としたものです。
調査概要
調査概要は以下の通りです。
調査対象
心臓弁膜症(心臓の弁がせまくなる狭窄症や、閉まりにくくなる閉鎖不全症など。以下「弁膜症」。)と診断されて、薬物治療を受けている方 または手術(弁の置換術・形成術(修復術)など)を受けたことがある方
対象者のリクルート方法
- NPO法人日本マルファン協会、ならびに一般社団法人全国心臓病の子供を守る会の各会員へ案内を依頼
- スタッフのSNSを通じた募集
調査方法
WEB調査
調査期間
2018年11月25日から2019年1月31日
回答者の概要
回答者は50名で、回答者と患者本人の関係、性別と年齢分布は以下の通りでした。
(画像をクリックすると拡大します)
弁膜症の状況
単独部位の弁膜症の方が33人、複数部位の弁膜症の方が13人、わからない方が4人でした。
現在までに受けた治療(複数回答可)
手術を受けたことがある方は36人(72%)でした。
現在使用している人工弁
弁置換術を経験したことがある方は23名でした。下記はその内訳です。
手術前の不安、手術後のストレス
この項目では、心臓弁膜症の手術前の不安、そして術後に感じたストレスについて尋ねました。
弁置換術(開胸手術)前に感じた不安
回答者: 開胸手術経験者23名
弁置換術(開胸手術)後の不快感・ストレス
回答者: 開胸手術経験者23名
弁形成術前に感じた不安
回答者:弁形成術を経験したことがある16名
機械弁に関する大変さや不安
回答者:現在機械弁を使用している方19名
生体弁に関する大変さや不安
回答者:現在生体弁を使用している方4名
生活で困っていること
この項目では、心臓弁膜症を持ちながら生活する上での困りごとについて尋ねました。全て回答者数は50名です。
現在の生活での困りごと
過去に困っていたこと
困っていることの推移(1)
困っていることの推移(2)
困っていることの推移(3)
困っていることの推移
情報ニーズ、情報源
この項目では、心臓弁膜症を持ちながら生活・治療をする上での情報ニーズや情報源について尋ねました。全て回答者数は50名です。
自分にとって良い治療を受けるために必要だと思う情報
自分らしい生活を過ごすために必要だと思う情報
これまでに利用したことのある情報源
これから利用したい情報源
これまで利用した情報源+これから利用したい情報源
患者会活動の状況
回答者は50名です。患者会所属の方は半数でした。
結果のまとめ
調査の結果から、以下のことが分かりました。
- 弁置換術、形成術とも、手術前には術後の痛み、体力や運動、手術の成功確率などについて、不安に思っている人が多い。
- 弁置換術で機械弁にした人には抗凝固剤の出血のしやすさに不安を感じる人が多く、生体弁にした人は全員が耐久性に不安を抱いていた。
- 生活での困りごとは、症状自体や運動制限、薬を飲み続けなくてはいけないこと、手術をしなくてはいけないことなどが多かった。また、弁膜症に関する情報が少ないことも約半数の人が困っていると回答し、過去においては半数以上の人が困ったと回答した。
- 自分らしい生活を過ごすために必要だと思う情報は、同じ症状が出たときの生活上の知恵や工夫が一番多かった。
- これまでに利用したことのある情報源は主治医が90%近くで最も多く、患者や患者会の利用は40%だった。一方、これから利用したい情報源としては、患者や患者会が70%となっていた。
- すでに患者会に所属している人は50%だった。
既に患者会に所属している人は約半数で、回答者の7割がこれから利用したい情報源として患者会を挙げています。情報が少ないことで困った経験も分かりました。患者会や患者同士で話せる場が求められていると言えます。
今後の課題
- 回答数が少なかったこと、アンケートの広報先が2つの団体に限られたことから、次回はより大規模な調査を行う必要がある。
- 主治医から「狭窄症」「閉鎖不全症」という診断名だけを聞いている患者は、自分が心臓弁膜症であるということを知らないこともあり、弁膜症というキーワードではリーチできないことがある。
上記の課題を踏まえ、心臓弁膜症ネットワークとして、今後も当事者の声をしっかり聞いていきたいと考えています。当事者のよりよい生活に何が必要なのか、どのように当事者、支援者、医療者、そして社会に働きかけていけばよいのかを考えていきたいと思います。
以上、7月21日の第1回交流会で報告された「心臓弁膜症のある方に関するアンケート調査」結果報告レポートでした。
今後の企画もウェブサイトで発信していきますので、今回の交流会に都合が合わず参加できなかった方も、ぜひお越しください!
SNSでも情報発信しています。
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